AIによる3Dアセット生成技術は、2026年現在、ゲーム開発の現場を根本から塗り替えつつあります。特にRobloxが2025年3月に発表し、2026年2月にオープンベータへと進化させた「Cube Foundation Model」は、テキストを入力するだけで機能する3Dオブジェクトや完全なゲームシーンを生成できる「4Dジェネレーション」時代の幕開けを告げるものです。かつては専門的な3Dモデリングスキルが必要だったゲーム開発が、今やプロンプトを打ち込むだけで実現できる時代へと突入しました。
Robloxが切り拓く「4Dジェネレーション」の衝撃

Robloxは2025年のGDC(ゲーム開発者会議)において、自社開発の基盤AIモデル「Cube 3D」を発表しました(参照:Roblox公式ニュースルーム)。このモデルはオープンソースとして公開され、開発者が独自のデータでファインチューニングしたり、プラグインを開発したりすることも可能にした点が注目されました。
そして2026年2月、Robloxはさらに一歩踏み込んだ発表を行いました。それが「4Dジェネレーション」のオープンベータリリースです(参照:Roblox公式ニュースルーム──4D Generation)。
「4D」という表現が少々難しく聞こえるかもしれませんが、要は従来の「3Dモデルを生成する」だけでなく、そのオブジェクトに「動作やスクリプト(ゲームロジック)」が組み込まれた状態で生成されるということです。つまり──
- テキストプロンプトで「車」を生成する
- 生成された車には、ゲーム内で実際に走らせるためのスクリプトが組み込まれている
- プレイヤーが乗り込んで、即座に運転できる
このような体験がRoblox Studio内で完結できるようになりました。Robloxのエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるAnupam Singh氏は「プレイヤーがシンプルなテキストプロンプトで機能する車を生成し、乗り込んで走らせることができる」とその革新性を説明しています(参照:Game Developer)。
Roblox Studio Assistantの進化
4Dジェネレーションと並んで注目すべきは、Roblox Studio Assistantの強化です。MCPプロトコル(Model Context Protocol)を採用したことで、FigmaやBlockade Labsなどの外部ツールとシームレスに連携できるようになりました。これにより、デザインから実装までのマルチステップ作業を自動化する道が開かれています(参照:AI and News)。
業界の現状と開発者の反応
2026年のGDC「ゲーム産業の現状レポート」によれば、ゲーム業界のプロフェッショナルの36%がすでに生成AIツールを業務に活用しているとされています。一方で、その半数はAIがゲーム品質に否定的な影響を与えると懸念しているのも事実です(参照:Game Developer)。技術の進化と品質・クリエイティビティのバランスをどう保つか──この問いは、現在のゲーム開発者全員が向き合うテーマになっています。
Roblox以外のAI 3Dアセット生成ツール全貌

Robloxのエコシステムの外にも、ゲーム開発を強力に支援するAI 3Dアセット生成ツールが多数登場しています。それぞれ特性が異なるため、用途に応じた選択が重要です。
Meshy──スピードと使いやすさのバランス
Meshyは、テキストや参照画像から3DモデルとPBRテクスチャ(物理ベースレンダリング対応の質感データ)を自動生成できるプラットフォームです。FBX・GLTFなどの主要ゲームエンジン対応フォーマットへのエクスポートに対応しており、UnrealやUnityへの統合が容易です(参照:Meshy公式サイト)。
無料プランでは月200クレジットが付与されますが、商用利用にはCreative Commonsライセンスの制約があるため、商業プロジェクトには有料プランが必要です。複雑なオーガニック(生物的)モデルのトポロジー(面の構造)が荒くなる場合があるという制限も報告されています(参照:Meshy Review 2025)。
Kaedim──プロ向けの「人+AI」ハイブリッド
Kaedimは、AIと人間アーティストの協働による「Human-in-the-Loop(人間が工程に介在するループ型)」を採用しているのが最大の特徴です。AAAスタジオや大企業にも採用実績があり、クリーンなトポロジーのゲームレディアセットを生成できます(参照:Kaedim公式サイト)。
コストは月400ドル以上と高価ですが、品質と納期の確実性という点では業界トップクラスです。「複雑なSFクレートのモデルを3時間かかる作業から10分で完成させた」という開発者の声も寄せられています。
Hyper3D(Rodin)──品質重視の拡散変換モデル
Hyper3DのコアであるRodinモデルは、「CLAY」と呼ばれる15億パラメータの生成モデルを基盤としています。Multi-resolution VAEとLatent Diffusion Transformerを組み合わせたアーキテクチャにより、クリーンなクアッドメッシュ(4角形ポリゴンによる整った面構成)とPBRテクスチャを自動生成します。2025年のレビューでは品質スコア8.5〜9.5/10と高評価を獲得しています(参照:Hyper3D Review 2025)。
Luma AI(Genie)──NeRFによるリアリズム
Luma AIのGenieはNeRF(Neural Radiance Fields:ニューラル放射フィールド)とGaussian Splattingを活用したリアル志向の3D生成ツールです。実世界の物体や空間をスキャンして高精度な3Dシーンを再現するのに優れており、Unity・Unreal Engineへの直接エクスポートにも対応しています(参照:Tridimensi AI 3D Generator Guide)。

AI 3Dアセット生成の技術進化が「変えたもの」
プロトタイピングの民主化
かつて3Dアセットの制作は、Blenderや Maya といった専門ツールを長期間習得した上で初めてできるものでした。しかし現在のAI 3Dジェネレーターは「1枚の参照画像」か「数十文字のプロンプト」があれば、数十秒〜数分でゲームレディなアセットを出力します。
AI 3Dジェネレーションとテクスチャリングの市場レポートによれば、テキストから3Dを生成する「テキスト to 3D 拡散モデル」セグメントは2026年に市場を牽引する主要技術になると予測されています(参照:Meticulous Research 市場分析)。
インディー開発者へのインパクト
AIによるプロトタイピング短縮の恩恵を最も受けているのは、少人数チームで開発するインディースタジオです。ある事例では、AIアセット生成の活用によって初期プロトタイピング時間を50%削減しながら、複数のクリエイティブ方向性を比較検討することが可能になったと報告されています(参照:StudioKrew AI Game Assets 2025)。

Roblox開発への実践的活用方法

それでは、Roblox開発者が現在利用できるAIツールを、具体的なワークフローで整理してみましょう。
Cube 3Dを使ったRoblox Studioワークフロー
- Roblox Studioを開く──Cube 3Dは既にRoblox Studioに統合されています
- テキストプロンプトを入力──「古城の城壁」「SF風の操縦席」などの日本語または英語テキストを入力
- 3Dオブジェクトを生成──数秒〜数十秒でモデルが生成される
- 4D機能(ベータ)でスクリプトを付与──オープンベータ版では動作ロジックも自動付与が可能
- 微調整・パブリッシュ──必要に応じてRoblox Studioの通常ツールで編集
外部AIツールとの組み合わせ
Robloxの標準フォーマットはFBX・OBJに対応しているため、MeshyやHyper3Dで生成したアセットをRoblox Studioにインポートすることも可能です。この「外部AI生成→Robloxへのインポート」という手法は、Cube 3Dでは表現しにくいフォトリアルなテクスチャが必要な場面で有効です。
また、SuperbulletAIのようなRoblox専用AIアシスタントも登場しており、月100万トークンの無料枠でLuaスクリプトの生成・修正を支援してくれます(参照:Roblox Developer Forum)。
品質管理と注意点
AIが生成したアセットは完璧ではありません。現在の主な課題として以下の点が挙げられます。
テクスチャのゆがみや法線マップの不整合は、特に複雑な有機的形状(人体・植物など)で発生しやすいです。また、非常に細かい彫刻やエングレービングは「やや甘く」なる傾向があります。複雑なオーガニックモデルではトポロジーが粗くなることがあり、アニメーションを適用する場合は手動でのリトポロジー(面の再構成)が必要になることがあります(参照:StudioKrew AI Game Assets 2025)。
クラウドベースのAIサービスを利用する際は、未公開ゲームコンテンツがサーバーを経由することに伴うIPリスクにも注意が必要です。NDAに準拠したパイプラインを確認の上で利用することを推奨します。
AI 3Dアセット生成の現在地と今後の展望

2026年現在のAI 3Dアセット生成技術は、以下の段階にあると評価できます。
現状でできることとして、シンプルな小道具・乗り物・建築物のゲームレディモデル生成、PBRテクスチャの自動付与、主要ゲームエンジン対応フォーマットへのエクスポート、Roblox向けの機能付き4Dオブジェクト生成(ベータ)が可能です。
まだ人間の手が必要な領域としては、ヒーローキャラクターのような高精度アセットの仕上げ、ゲーム全体のアート方向性の統一、複雑な有機的形状のリトポロジー、そして著作権・IPリスクの確認作業が挙げられます。
Robloxの4Dジェネレーションが示す方向性は明確です。将来的には「自然言語でゲームシーン全体を生成し、コードもアニメーションも環境も自動構築される」世界が目指されています(参照:Roblox公式ニュースルーム──4D Generation)。
ゲーム開発における人間の役割は「ゼロから作る」から「AIと共に創る」へとシフトしています。このパラダイムシフトをいち早く取り入れ、AIの得意領域と人間の創造性を掛け合わせることが、これからのRobloxクリエイターに求められるスキルセットとなるでしょう。
参照先一覧
- Roblox公式ニュースルーム:Cube 3D 発表
- Roblox公式ニュースルーム:4D Generation オープンベータ
- Game Developer:Roblox 4Dジェネレーション報道
- AI and News:RobloxのAIツール解説
- Meshy公式サイト
- Kaedim公式サイト
- Hyper3D Review 2025
- Tridimensi AI 3Dジェネレーターガイド
- StudioKrew AI Game Assets 2025
- Meticulous Research 市場分析
- Roblox Developer Forum:SuperbulletAI
- MIT Technology Review:Roblox生成AI環境生成
- Meshy Review 2025



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